30代女性経営者2名が語る、等身大の女性起業。背中を押してくれる先輩と、悩みを共有できる仲間が支えになる〜イベントレポート〜【awabar沖縄代表 押切加奈子×Cannpass代表 山崎春奈】

起業する、経営者になるという選択肢は、珍しいことではなくなってきたものの、まだまだハードルが高いと感じている方も少なくないのではないでしょうか。

特に女性は、身近に独立・起業を相談できる人やロールモデルがいないと感じている人も多いと思います。


そこで、会社設立1年生の合同会社awabar沖縄代表 押切加奈子と、会社設立2年生の株式会社Cannpass代表 山崎春奈が、会社設立のリアルを語るトークイベントを9月29日に開催。

経営者1年目と2年目の2人が感じる「会社設立って、実際どうなの?」という実態をお話ししつつ、ワークライフバランスや起業を考える人へのアドバイスも含めて、等身大の女性起業を語りました。


イベントの様子をレポートでお届けします!


チャンスを受け入れる小さな勇気から、経営者の道へ

2人がそれぞれ会社を立ち上げることになった経緯から、トークは始まりました。


押切加奈子(以下、押切):私は、もともとブックカフェ兼イベントスペースのBOOK LAB TOKYOで店長を務めたあと、イベント・コミュニティのプラットフォームを運営するPeatix Japanでコミュニティマネージャーをやっていました。そのとき、沖縄の観光協会さんとご縁がありまして。ちょうどコロナ禍だったということもあり、沖縄はワーケーションとかコワーキングスペースなどの施設が増えていて、その勉強会に顔を出していました。


そうして、沖縄の方々にたくさんお世話になり、支えてもらい、沖縄で自分が貢献できることはないか思うようになりました。そこで昨年、沖縄へ移住を決意したんです。

私は、BOOK LAB TOKYOの店長時代から、「人の出会いの場づくり」がしたいという想いが強かったですね。沖縄に移住したことで、沖縄へ移住した人や起業してチャレンジしていく人が集える場所があったらいいなと思うようになりました。


そんなとき、東京の六本木から始まった、起業家が集まる立ち飲みバーawabarを沖縄にも作るので、店長をやらないかというお話をいただきました。さらに、awabar okinawaの運営のために、会社も立ち上げることになったんです。


起業を目指して動いていたわけではないですし、自分ができるかどうかなんてわからなかったですが、せっかくいただいたチャンスに「イエス」と答えることしか思い浮かびませんでした。


山崎春奈(以下、山崎):私の場合は、4年半ほど前に、PR会社の複業メンバーとしてPRライターの仕事を始めて、その会社の事業を譲渡していただく形で、2020年に自分の会社を設立しました。会社員の仕事もつづけているので、複業経営者ということになります。


そもそもなんでPRの複業を始めたか、というところからお話しますね。私は会社員として2回転職をしていて、そのたびに「会社の看板のない自分に、どんな価値があるのか」ということを考えていました。個人で仕事ができるスキルを身につけたいと思い、いろんな勉強会に足を運ぶなかで、PRライター入門セミナーに参加したことがきっかけでした。

そのセミナーを主催していたPR会社の社長が、私に「PRの仕事が向いていると思うよ」と言ってくださって。未経験からでしたが、PRを教えていただきつつ、仕事として経験を積み、執行役員を務めるまでになったんです。


その社長自身がキャリアを次のステップに進めようと思っていたことと、私に経営者になるきっかけを作ろうしてくださったことが重なって、事業を引き継ぐ形で自分の会社Cannpassを設立。


事業譲渡するお話をいただいたとき、「自分にできるのだろうか?」「本当に自分でいいのか?」と不安や葛藤はもちろんありましたが、せっかく自分を信じてオファーしてくださっているので、やってみようと決意しました。


背中を押してくれる人の存在が、会社立ち上げ時の大きなチカラになる

会社員から独立して会社設立をした押切さんと、複業(副業)として会社経営をする山崎さん。それぞれ、起業してみての苦労や楽しさなどを語ります。


押切:私は会社員を辞めて独立する形で、会社代表と店長をすることにしましたが、無理に会社員を辞めなくても、山崎さんみたいに複業(副業)で会社経営するのもいいなと思いますね。


山崎:そうですね。私は、自分の性格的に、崖っぷちで頑張るというより、着実に、でもチャレンジもしていくみたいな状況が力を発揮しやすいんです。だから、会社員の仕事で生活を安定させながら、複業(副業)でのびのびと挑戦するのが向いているかなと。


押切さんの場合、店舗立ち上げもあって、会社設立前後の準備とか大変なのではと思うのですが、どうでしょう……?


押切:役所への申請など手続きは思った以上に大変でしたね。スケジュール管理をしっかりしていないと、いろんなことが後倒しになってしまうので。あと、awabar沖縄は、出資者が私以外に5人いて、みなさん経営やビジネスの大先輩なので、とても学ばせてもらいつつ、自分と同じレベルで話せる人が社内外にいるといいなと思うようになりました。


山崎:逆に、私はPRや人材育成といった領域なので、パソコンがあればほとんどの仕事が成り立つ事業です。そういう意味では、起業のハードルは低かったのかもしれません。


私が起業してから課題に感じることは、あらゆる決断が自分の責任なので、どんな規模や種類のお仕事まで自分が責任を負えるかという、判断のモノサシみたいなものが完全には培われていないことかなと思っています。

でも、自分の責任だからこそ、誰かの顔色をうかがったり、誰かの決断を待たなきゃいけないということもなく、失敗してもいいからやってみようと、トライしやすくなったのは、楽しさでもありますね。もちろん、社員を雇用している会社や株主がいる会社の場合には、事情も異なるとは思いますが、私のように1人社長の場合、自分で決められる自由さを感じています。


押切:私は会社設立の段階で、出資者の方々を筆頭に、経営の大先輩方とコミュニケーションをとることができるおかげで、今、学びしかないです(笑)。自分が経営者として立ち上がっていけるよう、背中を押してくれる方々が周りにいるのは、本当にありがたいです。


山崎:押切さんと私が共通しているなと思うのは、「自分以上に、自分を信じてくれる人がいる」ということ。特に女性は、自ら起業しよう、経営者になろうという人が、まだ多くはない。でも、性別関係なく、世の中や社会によい価値を提供できる力を持っている人はたくさんいるので、背中を押してくれる人に出会えるように、まずは目の前のことに全力で貢献するのが大切なのかもしれないですね。

時間の使い方は自分次第。意識的にプライベートの時間も確保しよう

沖縄での結婚を間近に控える押切さんと、会社勤めしながら自社経営もする山崎さんの、ワークライフバランスの悩みや工夫について話が展開されます。


押切:会社設立して、自分の役員報酬を決めて……売上がたつように考えながらも、自分のプライベートの時間もどこまで確保するか、自分で決断して時間を作ることが大事だなと痛感しています。時間の使い方は自分次第なので、無限に仕事をしようと思ったらできてしまうんですよね。


それに、今年結婚することになったので、家庭を守りたいという意識も芽生えるようになってきています。すでに起業する段階で、結婚予定のことは出資者の方々にも報告していて、それも含めて応援してもらえているのが、とてもありがたいのですが、これからどんなライフスタイルにしていくか自分でも模索中です。山崎さんが複業でどのようにプライベートとのバランス取っているのか気になります……。


山崎:平日日中は会社員の仕事がメインなので、空いている時間や休日で、自社の仕事をしています。自社の仕事は、Googleカレンダーに会議だけでなく作業時間なども予定として入れていて、自分のスケジュールにどれくらい余力があるのか見える化しています。あとは、気分転換のために、自然がある場所に行ってリモートワークもしています。沖縄にも時々いって、押切さんと遊んだりもしています(笑)


押切:私と山崎さんは、つい1年ほど前に知り合ったのですが、一気に仲が深まって、プライベートの友だちでもあり、仕事のパートナーでもあるという感じです。自分の悩みと同じ目線で話せる友人をつくるのは、とてもいいと思いますよ。


山崎:30代になって、プライベートも仕事も、どちらも相談したり気軽に話せる人がいるのは、すごくいいなぁと感じています。


特に女性は、無茶して睡眠時間を削って走りつづけるみたいな働き方はできない人が多いのかなと思っていて。それを理解して議論しあえる仲間がいるのは心強いです。

あと、私は、自分自身の心と体のSOSに耳をかたむけるようにしています。ストレス溜まったら自然の中にいく。万一、自分の心や体が壊れてしまうようなときが来たら、会社を畳むといった引き際の見極めも大事かなと思っています。


押切:私も疲れたときは、公園とか緑を見ながら、鳥の声を聴いてぼーっとしています。自分なりの息抜きの方法を知っておくといいと思いますね。


「やってみる」ことで、好き嫌いや得意不得意のグラデーションがわかる

最後に、今後やりたいことや、参加者へのアドバイスが語られました。


山崎:自社が2期目に入り、立ち上げ当初よりも、さらに「自社だからこそ価値を発揮できること」への比重を増やしていきたいなと考えています。


たとえば、PRというスキルを、広報・PR職を目指す人以外にも、ビジネスパーソンのコミュニケーションスキルとして伝えていきたいです。私自身、未経験から複業でPRに関わるようになって、まったく異なる業界・職種の会社員の仕事でも、PRが活きる場面が多くあると実感しているから。

私は、人材・キャリアといった領域への興味が強いので、PRを軸にしつつ、人材育成・キャリア支援・採用などでもっと貢献できるようになりたいですね。


押切:私はまず、これからオープンするawabar okinawaを安定的に回せるようにしたいですね。将来的には、awabarだけでなく、私の強みであるコミュニティづくりを中心に、コミュニティマネージャーの育成を手がけるなど、「人をつなげる」ことをしていきたいです。


これから独立・起業を考えている方へのアドバイスとしては、まわりで会社経営している人に話を聞いてみたり、相談してみるといいと思いますね。ただ、そのときに、すべての意見を取り入れようとすると、自分が何をやるべきなのかわからなくなってしまうかもしれないので、あくまで1つの参考アドバイスとして聞くのがおすすめ。


山崎:私も20代半ばのときに、いろんな情報や意見を聞きにいった期間がありました。でも結局、自分は何がしたいのか、何を追求すべきなのかって、やってみないとわからないんだなと、今になって理解できます。


だから、「これだ!」というものが見つかるまで探しつづけるというよりも、まずは複業(副業)からでも、やってみる、経験してみることで、自分の好き嫌いや得意不得意の濃淡がわかってくると思いますよ。


(執筆:山崎春奈)


<主催>

合同会社awabar沖縄 

株式会社Cannpass 


<関連情報>

イベントページ(※イベントは終了しました)

awabar okinawa出店について(note記事)

Cannpassが運営するWebメディア「is Closet」



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