文字単価の世界を卒業したい方へ。PRライター育成・指導を手がける経営者から学ぶ、仕事が途切れないPRライターになるヒント<PRライター入門>〜イベントレポート〜Cannpass主催
複業(副業)・フリーランスを目指す方が増え、気軽に始められる仕事としてライターは人気職種の1つになっています。
一方で、「ライターの仕事は好きだけど、安価な仕事が多く疲弊してしまうのではないか……」そう感じて、ライターのキャリアに悩んでいる方に、PRライターの面白さや可能性を伝えたい。
そんな想いで、2022年5月30日、PRライター入門セミナーをオンラインにて開催しました。
Cannpass代表の山崎春奈が、PRライター育成と、編集・指導をおこなってきた経験をもとに、指名されるPRライターになるためのヒントをお話しました。
イベントの様子をレポートでお届けします!
需要高まるPRライターは、企業の広報・PR担当者や中小企業経営者の右腕
イベント前半は、PRライターの役割や需要が高まっている背景について話がされました。
山崎春奈(以下、山崎):PRライターは企業やブランドのPRに関わるライティング全般をサポートする人。
たとえば、プレスリリースやオウンドメディア用の記事、SNS投稿文などオンラインのものもあれば、書籍やパンフレットの文章などオフラインもあります。
PRライターの需要が高まっている背景は、PR業界とライター業界それぞれのニーズからPRライターが求められているからです。
まず、PR業界でニーズが高まっている大きな理由は、企業の広報・PR担当者の役割が多様化してきたことです。以前は、テレビ・新聞・雑誌といったマスメディアに自社の製品やサービスを取り上げてもらうことを主な目標としていた広報活動。マスメディアとの関係構築が主な役割でした。
インターネットが普及する以前は、お客さまに情報を届ける方法がマスメディアを介するほかありませんでした。しかし、ウェブ上で情報を届けることできるようになり、今や、それが当たり前となり、ウェブ施策なしには、なかなか届けたい相手へ情報を届けられなくなっています。
そこで、広報・PR担当者は、ウェブサイトの更新、ブログ記事作成、オウンドメディア、ソーシャルメディアなど、ライティング力を要する機会が増えました。もちろん引き続き、マスメディア向けのプレスリリースも書かなければなりません。
ところが、広報担当者はライティングのプロではありません。これまで同様にメディア取材を受けるなどの、やらなければいけない業務もたくさん抱えています。そのため、PRの現場で最適にライティングができるPRライターの存在が求められるようになったのです。
PRライターは企業の広報・PR担当者、あるいは広報・PR機能を持たない中小企業経営者の右腕となる大役を担っているんです。
>>PRの基本について知りたい方は、こちらもご参照ください
今後求められるのは、中長期的に本物のファンを増やすという“PR視点”を持つライティング
つぎに、ライター業界から見るPRライターの価値やウェブライターの違いについて話が展開されます。
山崎:では、ライター業界からの視点で、PRライターの需要が高まっている背景は何でしょうか。
その背景を理解するためには、ウェブライターが急増した2013年ごろからの時代の流れを知ると、わかりやすいと思います。
オウンドメディアの普及とともに、ウェブライターへのライティング外注が増え、ウェブライターが急増。クラウドソーシングにおいて、隙間時間での記事作成を依頼する企業も増えました。
クラウドソーシングには誰でも簡単に登録でき、ライターのプロではなくとも素人や駆け出しの状態で仕事を受託することができます。そのため、発注者側は1文字1円以下から発注が可能です。企業にとっては低価格で依頼でき、クラウドワーカーにとってはいずれライターになるために練習やお小遣い稼ぎがしやすくなり、よい循環が生まれ始めました。
しかし、しばらくすると、プロではないウェブライターの急増によって、ウェブ上に溢れる記事の品質が大幅に下がり、検索した記事が信用できないという事態に陥ることになりました。ウェブ業界を筆頭に大きく問題視され、多くのウェブ業界のリーディングカンパニーが議論や警鐘を重ねてきました。これが、2016年ごろです。
このような時流があり、本当に読者に有益で、記事に偽りや嘘のないプロフェッショナルが書く“質の高い記事”が求められるようになっています。
ウェブライターと名乗る人たちは急増したものの、誰が本当に実績を持つウェブライターなのか、見極めがつかないと企業側が懸念し始めました。
そんな中で、テクニックで認知拡大や集客をするのではなく、中長期的に本物のファンを増やすというPR視点を持つライティングも求められるようになり、PRライターの需要が高まったのです。
>>ウェブライターとの違いについては、こちらもご参照くださいませ。
文字単価換算以外の仕事を依頼されるライターになるために
イベント後半は、「これからライターを目指したい」「今のライターの仕事は、文字単価換算の依頼しかない」という方に向けてのアドバイスに話が移ります。
山崎:私自身の実体験や、PRライター育成の経験をふまえて、ライターのキャリア形成においてお伝えしたいアドバイスは、大きく3つです。
・プロダクションや会社への所属
・ライターと掛け合わせられるスキル習得
・指名や紹介をいただける信頼関係構築
1つずつ補足していきますね。
まず「プロダクションや会社への所属」。
クラウドソーシングや複業人材マッチングのサービスでライターとして依頼される案件は、文字単価換算が多い傾向にあります。
経験としてやることは、悪いことではないですが、「ライターとして仕事の幅を広げたい」「自分の名前で仕事をしたい」「文字単価で依頼される仕事以外のライターの仕事をしたい」という場合には、クラウドソーシング以外の選択肢も持てるようになることがポイント。
実績や経験がないうちは、スキル習得や育成を兼ねてお仕事を経験させてもらえる場を探したり、会社員として社内のライター・編集の仕事を経験するなどの実績をつくることも考えるといいと思います。
そして「ライターと掛け合わせられるスキル習得」。
私自身がPRライターとして、ライティングと広報・PRのスキルがあることで、お仕事をいただける機会が増えていると感じているからです。
もちろん、広報・PR以外でもいいと思います。掛け合わせるスキルが、ニーズはあるけれども、人材が不足している分野を選ぶのがおすすめです。
そして「指名や紹介をいただける信頼関係構築」。
ライターに限った話ではないのですが、特に複業(副業)やフリーランスなど個人で仕事をする場合、知人・友人からの紹介やご指名でお仕事が広がっていくことが多くあります。
意識するといいのが、「同じスキル・実績レベルの人が他にもいたときに、“あなたにお任せしたい”という人になる」こと。
自分が仕事を依頼する側だとしたら、どんな人と仕事をしたいと思いますか?
スキルや実績づくりも大事ですが、たとえば、納期を守るといった基本的な仕事の姿勢で、信頼される人になるかどうかに差が生まれたりもします。
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今後、テンプレート的なライティング業務は自動化・機械化されていくと言われています。
だからこそ、ライティングのテクニックだけでなく、人の心を動かす想いや共感、ストーリーを感じとり、言葉にするという“人間的”な部分が大切だと私は考えています。
PRの本質は「全てのステークホルダー(お客さま、スタッフ、株主、世の中など)と、良好な関係構築を育むことによってビジネスを成長させる」。
これを、日ごろの仕事の1つひとつの作業で意識して体現できるようになると、信頼関係が積みあがって、お仕事のチャンスにつながっていきますよ。
●登壇者プロフィール
山崎 春奈(やまざき はるな)
東京外国語大学アラビア語科を卒業後、ENEOSに入社。その後、リクルートキャリアへ転職し新卒エージェントサービスの営業に従事。現在は、会社員として外資系メーカーにてマネジメント職を務め、営業補佐や採用、人材育成など多岐に渡る業務をおこなう。
並行して、2016年より複業(副業)メンバーとして株式会社itty selectionに所属し、PRプランナー/PRライターの活動をスタート。2019年9月に執行役員就任。2020年8月同社からの事業譲渡をうけ、株式会社Cannpassを設立。PRを軸とした人材育成・キャリア支援サービスを展開する。
>>山崎について(ドコモマイマガジン取材記事)
<主催>
株式会社Cannpass https://www.cannpass.jp/
PR/キャリア/人材育成の事業をつうじて、企業・個人のみなさまをサポートする企業です。PRを軸に、複業家・フリーランス・女性リーダー育成や、スキルアップ・キャリアアップ支援を行なっています。代表取締役:山崎春奈/所在地:東京都渋谷区。
<関連情報>
・イベントページ(※お申込み終了)
・第6期広報・PRプランナー&PRライター養成講座(※募集終了)
・Cannpass運営のPRライター・PRプランナー人材プロダクション「is Closet」
(執筆:山崎春奈)
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